fnaticlol部門のコーチがキーボードを作っているようなのでチェックしてみます.機能性はともかく,最もユーザーに近いところからの設計という点で注目できそうです.
ゲーミングデバイスの三大メーカーといえばLogitech,Razer,Steelseriesかと思いますが,最近ではPCパーツメーカーも開発に積極的で色々と面白い製品をリリースするようになりました.マウスに関しては各メーカーそれぞれ個性的な形状のモデルをリリースしていて,選択肢に困るレベルになっているとは思いますがキーボードはどうでしょうか.
どのメーカーであってもキーボードの形は大きく変わらず,押下感,スイッチ,フレームや補助キー,ライティングといったところのみで差別化を図っていて,せいぜい変わったとしてキーキャップの形くらいです.後はほとんど同じようにQWERTYが並んでいて,EN配列かJP配列かで微妙に差があるくらいです.それこそが違いを産んでいるとも捉えられなくもないですが,マウスがこれだけエルゴノミクスだと謳っている割にはこちらはそこまで…といった印象を受けます.
そんな中で,Fnatic LoL部門の元コーチであるLuis “Deilor” Sevilla氏がデバイスを開発しているようなのでチェックしてみます.
ゲーマーが動かしている体の部位といえば主に腕です.腕といえば腱鞘炎,ということで昨今のeSportsゲーマーにとっての最大の懸念はそこにあるとのこと.
Hai選手は実際に競技シーンを離脱していますし,LoL界隈の選手達の手首に関する故障というのを度々耳にします.最近では手首にリストバンドを装着していたり,グローブをしている選手というのも見かけるようになりました.
ポインティングデバイスとしてマウスが開発されたのは20世紀に入ってからで,インターフェースとしてエルゴノミクスへの配慮はされていました.しかしキーボードのデザインというのは200年近く前からあるタイプライターの配列,サイズから未だにほとんど変わっていないことになります.
勿論一部のニッチなメーカーやマイクロソフトもそういったことに配慮して“やや奇抜”ともいえる形のキーボードをリリースしたりはしますが,ゲーマー向けとしては左手キーボードがあるくらいです.ゲーミングデバイスとして左手キーボードは押しやすいように配慮されているといえますが,それでも基本はタイプライターと同じ配置ということで,Deilor氏的にはまだまだだったのかもしれません.
ということで彼が開発したのがShortcutというキーボードになります.彼の専門であるLoLはQWER(AS)と1,2,3,4,5,6,7そしてSHIFT等が押せればいい,とすると左手側で大抵のことは事足りる設計になっていますが興味深いことに右手側も用意されている様子.左利きのプレイヤーも一定数いるということ,左右用意することでキーボードとしての機能も失わせたくないという狙いがあるのかもしれません.
両端の列(小指と薬指で操作する列)以外は上下に移動して調節できるようになっているとのことで,手のサイズに合わせて好みのセッテングを行えるようです.
セパレートタイプなのでどかしてマウスパッドを寄せることも想定しているようです.フルサイズのキーボードはおろか,テンキーレスですら十字キーの列が邪魔に感じることがあるくらいですからこれはありがたい配慮ですね.
親指部分にはサムスティックをつけるとのこと.十字キー形式でキーアサインできるようです.意外とゲーミング用途で使用頻度の高いCtrl,Altなどを割り当てるのを想定している様子です.
しかし.LoLではスペース(デフォルトでカメラを戻す)はあまり使わないと考えているのかもしれませんが,アクションゲームを始めとして“ジャンプ”に頻繁に利用されるスペースバーですから正直な話この配置はどうかな,といったところです.親指Shift派には...悪くないのかもしれませんが.そして流石にキーの数が少なすぎるなという印象を受けます.長年非常に高い評価を受けていたBELKIN n52teよりも少ないキー数というのは如何なものかといったところで,n52teももう一列欲しかったという声からRazerがリファインしている訳ですし...
何れにしても動画を見ているとケーブルはビニールテープで巻いただけでシールドしていたりと,手作り感満載のデバイス,プロトタイプでのすのでこれからクラウドファンディングなり,プロを含むユーザーフィードバックなりをうけて改善していくものと思われます.また,“オープンソース”な開発を謳っており,ハード・ソフト両面の開発にユーザーが自由に携われることも発表しています.同じようなコンセプトを掲げるマウスにMad Catz R.A.T.1がありましたが,一定の評価を受けていました(実際に3Dプリンタを利用しているかどうかは兎も角).
同様にコンセプトは悪くないようにも見えますので,真のゲーマーフレンドリーなキーボード発売を目指して頓挫しないことを願いたいところですね.
そういえば,彼のいたFnaticですが,長年続けてきたSteelseriesとのスポンサーシップを解除して独自のデバイス開発を行っていたのを思い出しました.
ローカルなデバイスメーカーが一体どのくらいの規模で買収できるのかという疑問はありますが,eSportsのチームがデバイスメーカーとのスポンサーシップを解除するというのは随分と思い切ってるな,と驚いた記憶があります.ましてSteelseriesといえばFnaticというレベルで長年スポンサー関係にあったわけですし...とはいえ今回のような話を聞いていると,今後eSportsチームが大きくなった際に,各方面から融資を受けつつオリジナルなデバイスを開発する流れ,というのも続いていくのではないのかなとすら感じてしまいますね.Fnaticほどのブランドがあってこそのオリジナルデバイスなのかもしれませんが.
ということで新年あけましておめでとうございます.酉年です.
髪だけでなく内容も薄めの新年初更新になりますが,引き続きこのノリで続けていきたいと思います.
それでは.
どのメーカーであってもキーボードの形は大きく変わらず,押下感,スイッチ,フレームや補助キー,ライティングといったところのみで差別化を図っていて,せいぜい変わったとしてキーキャップの形くらいです.後はほとんど同じようにQWERTYが並んでいて,EN配列かJP配列かで微妙に差があるくらいです.それこそが違いを産んでいるとも捉えられなくもないですが,マウスがこれだけエルゴノミクスだと謳っている割にはこちらはそこまで…といった印象を受けます.
そんな中で,Fnatic LoL部門の元コーチであるLuis “Deilor” Sevilla氏がデバイスを開発しているようなのでチェックしてみます.
The “Shortcut”, described as an Open Source Ergonomic Gaming Keyboard, is designed with the players’ health in mind. Deilor has identified that the existing keyboard is essentially using the old design of a typewriter from 200 years ago. This layout was never intended for esports players who train for multiple hours a day, all year round.
From eSportsFitness
ゲーマーが動かしている体の部位といえば主に腕です.腕といえば腱鞘炎,ということで昨今のeSportsゲーマーにとっての最大の懸念はそこにあるとのこと.
In League of Legends, notable players such as Freeze, Hai, Bjergsen and Pawn have suffered from injuries caused from playing so much, to the point that they are damaging their bodies.
Hai選手は実際に競技シーンを離脱していますし,LoL界隈の選手達の手首に関する故障というのを度々耳にします.最近では手首にリストバンドを装着していたり,グローブをしている選手というのも見かけるようになりました.
ポインティングデバイスとしてマウスが開発されたのは20世紀に入ってからで,インターフェースとしてエルゴノミクスへの配慮はされていました.しかしキーボードのデザインというのは200年近く前からあるタイプライターの配列,サイズから未だにほとんど変わっていないことになります.
勿論一部のニッチなメーカーやマイクロソフトもそういったことに配慮して“やや奇抜”ともいえる形のキーボードをリリースしたりはしますが,ゲーマー向けとしては左手キーボードがあるくらいです.ゲーミングデバイスとして左手キーボードは押しやすいように配慮されているといえますが,それでも基本はタイプライターと同じ配置ということで,Deilor氏的にはまだまだだったのかもしれません.
ということで彼が開発したのがShortcutというキーボードになります.彼の専門であるLoLはQWER(AS)と1,2,3,4,5,6,7そしてSHIFT等が押せればいい,とすると左手側で大抵のことは事足りる設計になっていますが興味深いことに右手側も用意されている様子.左利きのプレイヤーも一定数いるということ,左右用意することでキーボードとしての機能も失わせたくないという狙いがあるのかもしれません.
両端の列(小指と薬指で操作する列)以外は上下に移動して調節できるようになっているとのことで,手のサイズに合わせて好みのセッテングを行えるようです.
セパレートタイプなのでどかしてマウスパッドを寄せることも想定しているようです.フルサイズのキーボードはおろか,テンキーレスですら十字キーの列が邪魔に感じることがあるくらいですからこれはありがたい配慮ですね.
親指部分にはサムスティックをつけるとのこと.十字キー形式でキーアサインできるようです.意外とゲーミング用途で使用頻度の高いCtrl,Altなどを割り当てるのを想定している様子です.
しかし.LoLではスペース(デフォルトでカメラを戻す)はあまり使わないと考えているのかもしれませんが,アクションゲームを始めとして“ジャンプ”に頻繁に利用されるスペースバーですから正直な話この配置はどうかな,といったところです.親指Shift派には...悪くないのかもしれませんが.そして流石にキーの数が少なすぎるなという印象を受けます.長年非常に高い評価を受けていたBELKIN n52teよりも少ないキー数というのは如何なものかといったところで,n52teももう一列欲しかったという声からRazerがリファインしている訳ですし...
何れにしても動画を見ているとケーブルはビニールテープで巻いただけでシールドしていたりと,手作り感満載のデバイス,プロトタイプでのすのでこれからクラウドファンディングなり,プロを含むユーザーフィードバックなりをうけて改善していくものと思われます.また,“オープンソース”な開発を謳っており,ハード・ソフト両面の開発にユーザーが自由に携われることも発表しています.同じようなコンセプトを掲げるマウスにMad Catz R.A.T.1がありましたが,一定の評価を受けていました(実際に3Dプリンタを利用しているかどうかは兎も角).
同様にコンセプトは悪くないようにも見えますので,真のゲーマーフレンドリーなキーボード発売を目指して頓挫しないことを願いたいところですね.
チームとデバイスメーカー
そういえば,彼のいたFnaticですが,長年続けてきたSteelseriesとのスポンサーシップを解除して独自のデバイス開発を行っていたのを思い出しました.
そこでFnaticは,スウェーデンの周辺機器メーカーであるFuncを傘下に加えたという。Indiegogoにおける声明以外に具体的な情報はないのだが,FuncのWebサイトを開こうとすると,Fnatic GearのWebサイトにリダイレクトされることからするに,FnaticがFuncを買収して,周辺機器の開発と製造に乗り出したと考えていいのではなかろうか。
ローカルなデバイスメーカーが一体どのくらいの規模で買収できるのかという疑問はありますが,eSportsのチームがデバイスメーカーとのスポンサーシップを解除するというのは随分と思い切ってるな,と驚いた記憶があります.ましてSteelseriesといえばFnaticというレベルで長年スポンサー関係にあったわけですし...とはいえ今回のような話を聞いていると,今後eSportsチームが大きくなった際に,各方面から融資を受けつつオリジナルなデバイスを開発する流れ,というのも続いていくのではないのかなとすら感じてしまいますね.Fnaticほどのブランドがあってこそのオリジナルデバイスなのかもしれませんが.
ということで新年あけましておめでとうございます.酉年です.
髪だけでなく内容も薄めの新年初更新になりますが,引き続きこのノリで続けていきたいと思います.
それでは.